私、ドライブが好きで、あちこち走り回るんですが、
ただ、ドライブは好きなんですけど、地理に弱くて地図を見るのが苦手なんです。
以前のカーナビのないころなら、「ここの角を曲がるとその先に何があって」って目印を決められたんですけど、ナビに頼るようになって、ますます覚えるのに時間がかかるようになりました。
ナビに頼ってても、進行方向が上を向いてないと、どこを走ってるかわからないんですけどね。
「三重県は村が無くなって29市町になった」「伊賀市が上野市と合併して全体で上野市になった」
ことくらいは知ってますが、県北は位置関係がよくわかりません。
で、今回も北部はどこも同じ、名張市の次の目的地が上野市とは・・・
普通は上野から名張へ行って津市(三杉)経由で帰ってくるんでしょうね。
でも、この位置関係、今この記事書きながら確認してます・・・
当然、ナビ任せのドライブです。
でもね、ナビって目的地の近くまでは連れて行ってくれるんですけど、
必ず目的地の入り口に連れて行ってくれるわけではないんです。
次も、目的地は見えてるんだけど、「地図上に道がない」って感じのところでした。
目的地は、上野市の大きなお寺です。

さて、いつごろのことやったやろかな。伊賀上野の広禪寺では、毎月一回、檀家の人らが集まってな、方丈さんのありがたいお話を聞いたり、ごっつおをもってきてよばれたりして、楽しんでたんやげな。
あるとき、年のころ十二、三歳のほっぺたの赤いかわいらしい女の子が、台所仕事を手伝いに来るようになったんやして。
あるとき、年のころ十二、三歳のほっぺたの赤いかわいらしい女の子が、台所仕事を手伝いに来るようになったんやして。
よう働く気だてのええ子やったんやげな。
「小女良や、おくどさんを燃やしつけたら、おぜんの上をふいとくれ」
「はい」
「洗い物がすんだら、おわんをふっきんでふいとくれ」
「はい」
「小女良さんは、ほんまに、よう気のつくええ子やなあ」
などとほめられ「小女良、小女良」と、近所の子どもたちにも好かれてたんやげな。
「小女良や、おくどさんを燃やしつけたら、おぜんの上をふいとくれ」
「はい」
「洗い物がすんだら、おわんをふっきんでふいとくれ」
「はい」
「小女良さんは、ほんまに、よう気のつくええ子やなあ」
などとほめられ「小女良、小女良」と、近所の子どもたちにも好かれてたんやげな。
かすりの着物をみじかめに着て、赤いたすきとまえだれをかけて、きりきりとよう働く姿を見た人らは、心があったこうなる気さえしたんやして。

小女良は、いつも朝はよ来て仕事をし、夕方になると、残ったごっつおをおみやげにもろて、うれしそうに帰っていくのやして。
「小女良のうちはどこ」
と聞いたら、
「長田の山」
と答え、
「親はいるの」
と聞かれたら、いつも大きくうなずいてたんやして。
「小女良のうちはどこ」
と聞いたら、
「長田の山」
と答え、
「親はいるの」
と聞かれたら、いつも大きくうなずいてたんやして。


ある日のこと。お寺の台所では、朝から、よいにおいがただよってたんやして。
なべいっぱいの油あげを炊いて、いなり寿司をこしらえようとしてたんやして。
さて、お昼前になって油あげにご飯をつめようとしたら、なんべん数えても油あげの数がたらんのやして。
さて、お昼前になって油あげにご飯をつめようとしたら、なんべん数えても油あげの数がたらんのやして。
どうやら小女良が食べてしもたらしい、ということになったんやげな。
方丈さんは、きびしく小女良にたずねたんやして。
小女良は泣きながら、
「お腹がすいて、おいしいにおいがしたさかい、つい……かんにんして……」
とあやまったんやけど、方丈さんは、これがくせになっては、と強くしかったんやげな。
小女良は泣きながら、
「お腹がすいて、おいしいにおいがしたさかい、つい……かんにんして……」
とあやまったんやけど、方丈さんは、これがくせになっては、と強くしかったんやげな。



小女良は、泣きながらお寺を出ていったもんで、方丈さんは追いかけたんやして。
小女郎は鍵屋の辻の坂を走って下りてってな。
田ぁの中の道をかけぬけ、竹やぶの中の長田橋をわたろうとしたとき、赤いまえだれをはずしてしもて、じゃまになった赤いおこしもぬぎすててしもたんや。
そしたら、長い大きな茶色のしっぽが見えたんやして。走る足も姿も変わってしもたんやして。
そのうちに方丈さんは、小女良を見失のうてしもたんやげな。
小女良は命からがら逃げたんやけど、あんまりにも一生けん命走ったんで、とうとう正体があらわれてしもたんやげな。小女良は、ほんとうは長田の山に住む狐やったんやげな。
小女良は命からがら逃げたんやけど、あんまりにも一生けん命走ったんで、とうとう正体があらわれてしもたんやげな。小女良は、ほんとうは長田の山に住む狐やったんやげな。
後をふり向いても、もう方丈さんは、追いかけてきやへん。長田の山はもうすぐそこやったんで、ひと安心してゆっくり歩きはじめたんやげな。
そのとき、一人の猟師が、鉄砲をかついで通りかかったんやして。
そのとき、一人の猟師が、鉄砲をかついで通りかかったんやして。
今日は、一日中山の中を歩きまわったんやけど、えものは一匹もとれへんだ。すると、目の前を一匹の狐が歩いてるんやして。これはええこっちゃ、とばかりに鉄砲をうったんや。

ズドーン
この音を聞いてな、方丈さんはかけつけたんやんか。そやけど、小女良狐は、もううたれた後で、ぐったりしてたんやげな。
あんなに気だてがようて、いろいろと手伝ってくれた小女良のことを思たら、方丈さんは悔やまれてならへんだんや。そこで、お寺の中に小さな塚をたてて、手あつくほうむってあげたんやして。
徳居町の広禪寺のお堂の左側には、今も小さなほこらが建っててな。お稲荷さまをお祀りし、小女良狐の小さな石碑がおさめられてるんや。そして、小女良稲荷と書かれた赤い小さなのぼりが、ときどき風にひらひらしてるんやそうや。
この音を聞いてな、方丈さんはかけつけたんやんか。そやけど、小女良狐は、もううたれた後で、ぐったりしてたんやげな。
あんなに気だてがようて、いろいろと手伝ってくれた小女良のことを思たら、方丈さんは悔やまれてならへんだんや。そこで、お寺の中に小さな塚をたてて、手あつくほうむってあげたんやして。
徳居町の広禪寺のお堂の左側には、今も小さなほこらが建っててな。お稲荷さまをお祀りし、小女良狐の小さな石碑がおさめられてるんや。そして、小女良稲荷と書かれた赤い小さなのぼりが、ときどき風にひらひらしてるんやそうや。


曹洞宗龍谷山 広禪寺
三重県伊賀市上野徳居町3260
お寺さんのブログに詳しいアクセス方法がありました。
こじょろうぎつね〔伊賀市〕 ← 三重県のHP
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コメント
僕も県北部が苦手です。
半年ほど桑名に住んだことはありますが、休みも無いほぼ缶詰状態の仕事でしたからねぇ。
上野は3年住んだので、結構得意です。
このお寺は行ったことないですけどw
ナビに頼るようになるとだめですね。
ほとんど道を覚えません。
アレ?これってこっちの方が走りやすいんじゃない?
って思うことがあります。